相続の際の手続きや影響についてあまり知らず、不安な方も多くいらっしゃると思います。
特に、相続放棄と不動産の関係については、多くの疑問と不安が交錯する場面が少なくありません。
そこで、この記事では、相続放棄と不動産の関係性や法的な背景、そして注意すべきポイントまで解説します。

 

□全員が相続放棄するとどうなる？不動産が国のものになるプロセス

 

＊相続放棄の基本

相続放棄とは、相続人が遺産を受け取る権利を放棄する行為です。
この行為によって、相続人はその地位を失い、相続財産に対する一切の権利と義務を放棄することになります。
特に、不動産が相続財産に含まれる場合、その土地や建物も放棄することになるわけです。

 

＊不動産が国庫に帰属する条件

民法によれば、所有者のいない不動産は国庫に帰属します。

しかし、その過程は単純ではありません。
法的に証明するためには、相続財産清算人と呼ばれる専門家が必要です。
この清算人が不動産を国庫に帰属させる作業を行うのです。

 

＊法改正とその影響

2023年4月に施行された民法改正により、相続財産の管理人の名称が「相続財産清算人」に変更されました。
職務内容は基本的に変わりませんが、公告の方法にはいくつかの変更が加えられています。

 

□相続放棄の際の注意点と不動産の取り扱い

1.放棄の取り消しは不可能

相続放棄は一度行うと取り消しできません。
したがって、その決定は極めて慎重に行う必要があります。
特に、期限内での決定が難しい場合、家庭裁判所に期限延長の申請が可能です。

2.書類の不備とそのリスク

書類が不備であれば、相続放棄は受理されません。
この場合、負債だけを抱えることになる可能性があります。
そのため、専門家の協力を得て、確実な手続きを行うことが推奨されます。

3.不動産の処分と隠匿

不動産を処分したり隠匿したりした場合、相続放棄はできません。
これには、建物の取壊しや売買、解約などが含まれます。

ただし、修繕や賃貸などの「管理行為」は例外です。

4.管理義務とその責任

相続放棄した後も、相続財産管理人が決まるまでの間、不動産の管理義務があります。
この期間に不動産が老朽化や倒壊して損害が生じた場合、責任を問われることがあります。

 

□まとめ

相続放棄と不動産の関係は、一見単純に見えて多くの法的な細目が絡む複雑なものです。
特に、手続きの不備や不注意が重大な影響を及ぼす場合もあります。
また、相続放棄を考える際は、法的な側面もしっかりと把握し、適切な手続きを行うことが重要です。